2016年4月22日金曜日

【コラム】がん対策基本法について

こんにちは。スマイリーの片木です。
いつもスマイリーの活動に応援ありがとうございます。

現在国会議員が作る議連で「がん対策基本法改正案」が検討されていることから、がん対策基本法に対しての私の思いを書きたいと思います。

患者さん、ご家族には身近ではない法律のお話で難しいかもしれませんが良かったら読んでください。
なおこれは私の個人的な感情・感覚も含まれている内容ではありますことを予めお断りしておきます。

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1999年12月、広島のすい臓がん患者さんが、当時非小細胞肺がんにしか承認されていなかった抗がん剤「ジェムザール」をもとめて声を上げました。
当時、がん患者が実名で報道陣の前に出ることはなかったことで大きなうねりになり、2006年がん対策基本法が施行されました。
がん対策基本法には「がん対策推進協議会」を設置し、国のがん対策の羅針盤となる「がん対策推進基本計画」を作るよう盛り込まれました。

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「救えるいのちを救う」

そういう思いが反映されたように、がん対策推進基本計画(第1次:2006~2010)には「拠点病院」「標準治療」「五大がん」に対する対策が盛り込まれスタートしました。

2年経ち、がん対策推進協議会委員が代替わりしました。

現:全がん連の天野慎介さん(グループネクサス)が患者でありながら国の会議で会長代理の席に座るという画期的かつ注目が集まる協議会になっていました。

そのときには、三好綾さん(がんサポートかごしま)や前川育さん(周南いのちを考える会)、安岡ゆり子さん(がん相談センター高知)などが委員をされ第1次基本計画の評価(評価基準が無い中ではありますが)と、相談支援体制やピアサポート、痛み、離島や地域医療などの問題など多くの課題を提示し議論されました。

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その後、再び天野さんが会長代理として2期連続の委員となり(前川さんも留任)、現在全がん連の理事の松本陽子さん(おれんじの会)、眞島喜幸さん(パンキャンジャパン)が加わる形でいよいよ第2次がん対策推進基本計画(2011~2016)が作られることになりました。

その中で打ち出されたのが「がんになっても安心して暮らせる社会」という方向性。

はじめて協議会の下に「がん研究」「小児がん」「緩和ケア」の部会が設けられより専門的な方向性が示されることとともに、本協議会のほうでは、さまざまなテーマを決めてより細やかなヒアリングが行なわれ方向性に盛り込まれることになりました。

第1次基本計画では「五大がん」でしたが「小児がん」「難治がん」「希少がん」声が小さいがんは、治療法の開発や創薬、情報提供さまざまな部分でより国の支援が必要であることが確認されました。

また早期からの痛みへの介入やがんと就労といった社会的な支援も盛り込まれより細やかな方向性が示されました。

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その後の、第4期、現在の第5期とがん対策推進協議会は委員が入れ替わりながらも継続してきました。

私自身ががん対策推進協議会を傍聴しだしたのは2009年ごろからなので歴史は短いですが、漠然とした不安を感じました。

5大がんや、いわゆる拠点病院の選定などは継続して議論されていくだろうし方向性として示されるかもしれない。
でも、難治がんや希少がん、小児がんについてはその時にいわゆる「国民の関心が高い問題が起きたときに」取りこぼされる可能性があるのではないか・・・。
標準的治療が確立されてない、創薬がなかなか進まない、治療に苦慮するそんな患者さんたちこそ「国の政策」でなんとか策を講じていかなければならないのに。

私たち卵巣がんは2006年、それこそ基本法が走り始めた年にドラッグラグとなっていた治療薬を求めて声をあげました。
その時に5大がん中心の議論が国で進んでいることで、どうして患者数が少なくて治療に苦慮してるのに救われないんだと思いました。

どうしても協議会は患者会それぞれの得意分野には強いが、知らないことは取りこぼされるリスクがあります。
これまでの議論されてきた歴史をふまえてよりよいがん対策推進基本計画を繋げていくためにはどうしたらいいのか。

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そんなとき「国会がん患者と家族の会」で「がん対策基本法改正案」が議論されることになりました。

がん対策基本法は国のがん対策の「理念」です。

ここに「希少がん、難治がん、小児がん”など”」については丁寧に議論されるべきという方向性が示されれば、委員が変わり、例えがん対策が生まれ、築かれてきた歴史を知る人が少ない世の中になってもこれらの項目が取りこぼし無く議論されていくことになります。

「救えるいのちを救う」

がん対策基本法はそこから生まれたがん患者にとっての柱なのです。

標準治療が確立されておらず、創薬も患者が少ない分野では患者さんがいまもなお苦しんでいます。

すい臓がんは人口が少ないイギリスのほうが日本の何倍も臨床試験が走っています。
つまり日本では新規治療やこれからの標準治療の礎となる臨床試験が圧倒的に少ないのです。

卵巣がんだって卵巣がんのなかの20~30パーセントを占める明細胞腺がん。そのためのmTOR阻害剤の治験も医師が手弁当で駆けずり回って行なう状態です。
だって10万人に6人以下という希少がんである卵巣がんのうちの更に3割弱ですから。
そういう希少がんを現場の努力だけでなんとかしようなんて無理です。
だから国の対策でそこも救い上げていかなくてはならないのです。

全がん連は、国会がん患者と家族の会に常に同席され、そんな患者の思いを伝えてきてくださいました。

残念ながら20日時点ではでもその思いは反映された形にはなっていません。

がん対策基本法改正案は議連で今日にも揉まれて、パブリックコメントが開始される方向に進むと思います。

私たちは患者さんのためになるなら何度でも何度でも議員さんに頭を下げてお願いします。
どうかどうか、いま、この時間も議員会館で頭を下げて回ってる人がいること、これは他人事じゃないんだということを知っていただけたら幸いです。