2017年10月12日木曜日

【コラム】知人がインチキ健康食品を持ち込んで来たらどうする?

こんにちは。いつもスマイリーの活動を応援していただきありがとうございます。代表の片木です。
 
さて、がんになった患者さん、ご家族にとっては「あるあるネタ」であろうお話を今回対応と貴重な経験をさせていただいたので書かせていただこうと思います。
ただ、個人が特定されないよう事実をベースにしておりますが、わかりやすく簡略化していること、登場人物は全てフィクションと思っていただければと思います。

相談内容 

患者さんの家族から相談があり対応した事例です。
お母さまが卵巣がんで入院したことを知り、知人が「これが効くらしいよ」として、「●●水」をお母さまに薦めました。
お母さまは知人がすすめるからいいものだとして飲みましたがもちろん効果があるわけもなく、水を持ち込んだ知人にはご家族が「水なんて飲んでがんが消えるわけがない」として断りましたが、ご家族のいない隙を見ては、その知人はお母さまに水を届けに来ました。
(知人は業者ではなく、一般の人で善意で高額な水を買って来ている)
 
こんなインチキな水を家族の目を盗んでせっせと運んでくる友人にも辟易するが、そもそもこんな水を売ってる業者を許せないとしてご家族から患者会に相談がありました。

自治体に問い合わせ 

まずは、その業者の所在地である都道府県の薬事担当部局に、業者のホームページを連絡し、なんらかの対応ができないのかと相談しました。
この自治体は「都道府県単位で指導することはしていない」として、「業者のある市町村の保健所が窓口」であると教えてくださいました。
そのため、教えていただいた市町村の保健所に連絡をしました。
保健所でもすぐにホームページを確認してくれましたが、「その”●●水”のホームページには『薬が嫌いな人に朗報』『健康を取り戻す』という漠然とした言葉しか書いてなくて『がんが治る』と明確に効能効果を書いてないので取り締まることが難しい」として、消費者生活センターを紹介されました。

消費者生活センターへ問い合わせ 

消費者生活センターに問い合わせしたところ、こういった事例に関しては業者←→消費者間のトラブルであれば対応が可能になるのですが、今回は購入した友人←→患者さん家族という友人間のトラブルとなるために介入は難しいものの、そういう怪しげな水が販売されていることは記録として残していただけるということになりました。
 
その時に、色々アドバイスをいただいたのですが、


  • 今回の事例は「がんに効く」と信じて高額な水を買った友人が「騙された」と思って業者を訴えるとなった時は消費者センターとして対応が可能かもしれない(業者と消費者の間のトラブル)が、今回、買った友人は効くと信じて満足しているので訴えるのが難しい。
  • つまり実際に「●●に効く」として健康食品等を購入してしまった患者さんで、効果を感じられなくなった患者さんは消費者生活センターで対応が可能である。
  • また、効果がないと思って業者からの購入を断ったにも関わらず、しつこく購入を迫られるなどのトラブルにも消費者生活センターで対応が可能である。

と言うことを明確に説明していただけたのはよかったと思います。

偶然怪しい健康食品を発見したら・・・

では、例えば偶然インターネットで怪しい健康食品を見つけた時にどこに訴えればいいのか。
効能効果を明らかに謳っている場合はその業者がある自治体の保健所にまず相談から適切な窓口を紹介してもらうということになりそうです。

もしも怪しい健康食品に騙されたら・・・

もしも怪しい健康食品業者に騙された場合は、自分が悪いと思わないで、やり取りのメールなどもあれば証拠を可能な限り残して消費者生活センターに相談してほしいなと思います。
それが、次の被害を生まない一助になるかもしれないので。
 
患者会などに通報を依頼されても代理として記録を残していただくことくらいしかできません。
消費者生活センターは相談者が購入した当人であることが望ましいとのことでした。
 

善意として怪しげなものを押し付けられたら・・・

善意としてスピリチュアルなものや、健康食品等を押し付けてくるような人への対応として毅然と断れれば良いに越したことはありませんが、事を荒立てることが苦手だと言う場合は
「受け取るだけ受け取って捨てる」
「主治医に確認しないとそういうのはやっちゃダメだと言われてるの。ごめんねー」
とやんわりと対応するなども手じゃないかなと思います。

腫瘍内科医 押川勝太郎先生からのアドバイス

ブログ「がん治療の虚実」や、youtubeなど積極的に患者さんを支援されている押川勝太郎先生からアドバイスをいただきました。
「主治医が処方する保険認可されたものでないと、摂取してはいけないと言われてます。なぜなら処方された薬剤でさえ、副作用で肝障害とか起こりえます。病院以外で入手されたサプリメントや水で、肝障害がおこったら、今の治療中断してしまいます。治療失敗したら、責任とってくれますか?といってみたらどうでしょう。」
とのことです。
押川先生ありがとうございました!


参考になればと思いコラムとして投稿させていただきました。
今回、私も本当に勉強になりました。
 
なお、インチキ医療をしているクリニック等に関しては、今、厚労省のネットパトロール事業が行われています
http://iryoukoukoku-patroll.com/
怪しい医療機関を発見した時にはぜひ通報をお願いします。