2017年7月26日水曜日

【お知らせ】日本製薬工業協会に対して、企業活動と患者団体の関係性の透明性のさらなる確保についてのお願いを要望させていただきました。

いつもスマイリーの活動をご理解いただきありがとうございます。
スマイリーの片木です。

私たち患者会の活動は会員さんのお支払いいたただく会費や一般を含めた皆様へのご寄付から成り立っております。
またこれまでも製薬企業等の寄付をいただいたこともございます。
 
ただ、近年、企業との関係性の透明性がよくわからない事案に悩むことも多いために日本製薬工業協会に本日付でファックスにて要望を出させていただきました。

企業名や患者団体名については申し訳ございませんが一部マスキングさせていただきます。

また当会はA社の提供した当該の勉強会には参加しておりません。

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平成29726
日本製薬工業協会
会長 畑中 好彦様
コード・コンプライアンス推進委員会御中
患者団体連携推進委員会御中

「企業活動と患者団体の関係性の透明性のさらなる確保についてのお願い」

前略
平素より、国民や病と向き合う患者のために医薬品の開発や理解を求める活動を推進していただきありがとうございます。
近年、製薬企業と患者団体の連携が活発になり、様々な講演会や勉強会が開催されるようになってきました。
しかしその中で、企業活動と患者会の関係性に不安を感じるような事例も増えてきたことがあり、日本製薬工業協会において、また各委員会おいて、企業活動と患者団体の関係性についてさらなる透明性の確保をご検討いただき、会員企業に対しての啓発、周知徹底をお願いしたく要望を出させていただきます。

1. 製薬企業が製薬企業の外に団体を設立した形で行う患者団体との連携について
日本製薬工業協会が策定した「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」(2017222日改定、同年41日実施)「4.公開対象と内容」「(2)間接的資金提供」において、企業主催・共催の講演会、説明会、研修会に伴う費用を公開することが望ましいとなっています。
しかし一部の製薬企業においては外部に一般社団法人を設立し、そちらが勉強会等を行うことによって「透明性ガイドラインの外の活動」として、関連する企業の患者団体との共同の当該項目に、勉強会等に招いた患者団体への交通費や宿泊費等々を記載しない事例が見受けられます。
特定の企業だけを責めるつもりではないのですが事例がないとわかりづらいこともあり1社の事例を挙げておきますと、A社については一般社団法人A社Oncology学術振興会議という団体がありそちらが「がん患者会議」というものを2015年から主催しています。
参加団体には国のがん対策推進協議会委員の経験者など政策に影響を大きくもたらす可能性のある患者団体も招かれています。
しかしA社自体の「「A社と患者団体の協働に関するガイドライン」に係る公開情報」の当該年度のページにはもちろん外出しの一般社団法人が実施した「がん患者会議」に参加した団体への交通費や宿泊費、提供されたお弁当等の費用などが記載されていません。
きちんと企業が勉強会を実施してそれに関わる費用を開示しているところもあるのにもかかわらず、透明性ガイドラインの外で実施されているものに関しては報告の義務はないというのは社会的に見て妥当なのでしょうか?
この件については是非とも他の社についても同様の例も存在しますし、調査し、適切な関係性を築けるようにご検討いただきますようお願いいたします。
また、この一般社団法人は患者団体への資金集めのツールとしてブレスレットを無償提供して資金集めに使って欲しいとしているのですが、そこに「精神の安定、心の安定の効果」と記載されており、効能効果を謳っていることは非常に残念であり、利益供与とも受け取れますので726日付で厚生労働省に対して薬機法違反に抵触するのではないかとして通報させていただいております。
(参考)
企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン (日本製薬工業協会)
http://www.jpma.or.jp/patient/tomeisei/aboutguide/pdf/tomeisei_gl.pdf
患者団体との協働に関する行動指針 (日本製薬工業協会)
http://www.jpma.or.jp/about/basis/kyodo/pdf/kyodo.pdf
製薬協コード・オブ・プラクティス (日本製薬工業協会)
http://www.jpma.or.jp/about/basis/code/pdf/code.pdf
A社と患者団体の協働に関するガイドラインについて
https://www.*************
A社と患者団体の協働に関するガイドライン」に係る公開情報
https://contact.*************
一般社団法人 A社ONCOLOGY学術振興会議
http://*******
資金集めの支援ツール
http://www.*******


2. 特定の製薬企業が患者会の講演会などを支援することについて
製薬協コード・オブ・プラクティスには
透明性
【医療機関等との関係の透明性】
製薬企業と医療機関等との産学連携活動は医学・薬学の発展、適正使用の普及等に不可欠なものですが、これらの連携活動が盛んになればなるほど、医療機関・医療関係者が特定の企業・製品に深く関与する場面が生じることもあり、その判断に何らかの影響を及ぼしているのではないかとの懸念を持たれる可能性も否定できません。製薬企業は生命関連産業であり公的医療保険制度のもとで活動することから、他の産業以上にその活 動の透明性が重要であることを踏まえ、2011 1 月の製薬協総会にて「企業活動と医療機関等との関係の透明 性ガイドライン」が承認され、会員各社においても自社指針を策定し、透明性の向上を図ることとなりました。 製薬協コードをはじめとした関連法規制を遵守し、一般市民の目線に立った倫理的な企業活動を行うことがますます重要となります。
と記載されています。
「これらの連携活動が盛んになればなるほど、医療機関・医療関係者が特定の企業・製品に深く関与する場面が生じることもあり、その判断に何らかの影響を及ぼしているのではないかとの懸念を持たれる可能性も否定できません」という部分ですが、これは患者団体との協働においても起こりうるべきであり、将来的に企業とがん患者団体との連携においては「1社お抱えではなく、複数社の支援をとる形で行うよう」企業が患者団体に説明をしていくような形に持って行っていただけましたら幸いです。
これも事例があり、2016年、B社の支援を受けて講演会を開催していたがん患者団体が講演会開催後に厚生労働省に対して「転移性**がん治療薬*****の早期承認に関する要望書」として署名活動を行なっているという事例があります。
これに関しては当該患者会が企業から依頼されたものではないと言っていますが、コード・オブ・プラクティスにおいて懸念されている疑われる危険性のある事例だと見受けられます。
こういう事案が発生しないためにも前向きにご検討いただけましたら幸いでございます。
(参考)
●B社:http://*********201611
http://**********************
2016年のアドボカシー活動(NPO法人*******)
http://*****************

3. 製薬企業が調査会社を通じて患者団体へのインタビュー等を行うことについて
製薬企業が、患者団体の実情を研究するなどの目的で調査会社等々を使ってインタビューを取るということが頻繁に見受けられます。
当会へのそうしたインタビュー依頼が来ることも年に数回あります。
平成29622日に株式会社Cと名乗る市場調査会社から、D社から委託を受けたとして、患者団体の活動内容や、課題、製薬企業や社会へ期待している事を伺うためのインタビューを実施したいとご連絡がありました。
このインタビューには謝礼も発生します。
当会はこのインタビューをお断りしました。
というのも、D社は卵巣がんの治療薬の治験を行なっており、その社が実施するインタビューを受けて謝礼をもらうことは間接的な利益供与になりうるのではないかと懸念したからです。
こうした調査を行うに当たっては、企業が調査会社等に依頼するにしても、間接的な利益供与にならないような方法をもう少し丁寧に検討し患者会の選定や研究の手法を考慮していただけますような啓発も行なっていただけましたら幸いです。
安心して企業の調査に協力等ができるためにもお願いいたします。

2番、3番の案件については、まだこれから議論されるべき問題かも知れませんが、企業と患者団体が透明性ある協働をする上で、前向きにどうするべきか議論すべき問題かと思います。

1番の問題に関しては製薬企業がたとえ外出しの団体の支援であっても、患者団体がどう考えるか、世間一般がどう捉えるか倫理的に判断いただき検討いただけましたら幸いでございます。

長文になり申し訳有りませんが以上を要望させていただきます。
ご検討のほどお願い申し上げます。

以上

卵巣がん体験者の会スマイリー
代表 片木美穂

080-7038-9750