いつもスマイリーの活動を応援いただきありがとうございます。
代表の片木です。
卵巣がん体験者の会スマイリーは2006年9月1日に結成されました。
本日2016年9月1日で、まる10年を迎えました。
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スマイリーは、当時「卵巣がんの治療において深刻だったドラッグ・ラグ問題を解決する」ために結成された患者会でした。
2006年当時、日本では米国等で再発卵巣がんの治療薬となっている「ドキシル(リポソーマルドキソルビシン)」「ジェムザール(ゲムシタビン)」「ハイカムチン(ノギテカン)」が承認されていませんでした。
卵巣がんが再発した場合には治療の選択肢が少なく、多くの患者さんが苦しんでいました。
ある患者さんのインターネットでの呼びかけをきっかけに有志が集いはじめ、やがてスマイリーとなりました。
私たちは署名活動を中心に多くの場所でドラッグラグ解消を呼びかけました。
それは、国(国会議員)、厚生労働省をはじめ、医療従事者、製薬企業・・・多くの人たちを動かしました。
2009年のドキシル承認を皮切りに、厚生労働省は2010年2月患者からも意見を求める形で医薬品の必要性を審議し早期開発・承認を目指す「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が儲けられました。
また、この会議で公知(公に医薬品の必要性が認められているもの)に関しては前倒しで保険適用をしてもらえる制度ができました。
2011年にはジェムザールとハイカムチン、その後もタキソールの毎週投与法、エトポシド、アバスチン、また支持療法に用いられるデカドロンの剤形変更したものが、学会やスマイリーの要望で承認されました。
「医薬品行政のあり方を変えた」とその活動が評価され2010年、日経ウーマンオブザイヤー注目の人として取り上げられるまでになりました。
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ただ、薬の早期承認を求めるだけでは患者の問題に向き合い、応えていることにならない。
スマイリーは2007年にSNSを導入し患者・家族がインターネット上で交流できる仕組みを導入しました。
またオフ会(患者会はインターネットのオンライン上ですが、リアルで会う・・・いわゆるオフラインミーティングの略)と称して患者さん・ご家族が東京や大阪、名古屋で集まる場を設けました。
東京卵巣がんフォーラムや勉強会も継続して開催しています。
今年の4月からは新たな取り組みとしてスキルス胃がんの患者・家族の会であるNPO法人「希望の会」様といっしょに、月に1回患者さん、家族とゆっくり話ができる「しゃべりば」を開設しました。
そういった活動を通じて患者さんの声を聞く、患者さんの困っている問題を解決する活動をしていきたいと願っています。
また、私たちはドラッグ・ラグ解消を訴え、治療薬の早期承認を求めてきた立場から、国や厚生労働省、医療機関、大学、他の疾患の患者会などでの講演や、提言の機会をいただいています。
患者さんから届けられた声をそういう場に伝えることも使命だと思っています。
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私たちスマイリーがこうして10年活動を続けてこられたのは、私たちに声を届け、活動のための会費や、寄付をしてくださる会員がいるからこそです。
これまでスマイリーの10年間で600人を越える方が入会してくださいました。
そしてその多くが天国会員になられ、元気に卒業してくださる方は少ないのが現実です。
でもスマイリーと出会ってくださった一人ひとりを大切にこれからも活動を続けて生きたいと思っています。
またスマイリーの活動の際には多くの皆さんの助けをいただいています。
他のがん患者会のみなさま、医療者、議員、厚生労働省、企業、マスメディア・・・・など多くのみなさまと出会い前に進んでこられました。
10年続けることはできました。
でもまだまだ患者さんや家族の期待に応えられる団体になったかといえば未熟です。
これからも「私たちの活動すべてはがん患者さんのために」という使命を忘れずに前に進んでまいりたいと思います。