スマイリー代表の片木です。
9月12日から13日に神戸で開催された「第15回CRCと臨床試験のありかたを考える会議2015 in KOBE」に参加しました。
今回は教育講演『正しい知識を身につけよう!臨床研究・治験の新たなルール』の座長ということでの参加でしたが、時間があったので、特別企画『日本の臨床研究の「今」と「未来」~国民も巻き込んで議論しよう~』に参加しました。
内閣官房・医療政策機構の宮田先生と、今回の会議代表の森下さんが座長で進行されたこの特別企画では、様々な立場の方から5分スピーチがあり臨床試験に関する思いが語られました。
その中のお一人が大阪のある病院の先生。
臨床試験の拠点ではないけれど頑張ろうとしている病院の先生との触れ込みだったのでどのような提言をされるのかと期待していましたが、結果、ガックリしました。
だって「患者さんは1人にでも効果があったものに関しては使いたいのです。患者さんの期待に応える為にももっと小規模な試験でも承認するように仕組みを変える必要・・・」と。
もうその場で「なにいっとんねん!?」って叫びたい気持ちでした。
極端な例だけど、”3人のうち1人に効果がありました。”
って聞くと、患者さんは使いたがります。
でもこれって奏効率33%ではないんですよね。
これを30人に増やしても1人かもしれないし、30万人に増やしても1人かもしれない。
場合によっては日本国民でこのひとだけかもしれない。
もちろん、全国民に治験なんてできるわけでもないから、一定の計画を作り本当に有用なのか有害事象はどうなのか・・・未知の物を患者さんに同意をしていただき、体をお借りして試験し評価するわけです。
”患者は治療を受けたい”を隠れ蓑にして、医師が薬を承認させるのに貢献した金字塔を立てたいだけやん!としか思えず、質疑応答があったらCRCのための会議であろうともこんな医師に臨床試験をする資格があるのかと徹底追及したろうと思ったのですがその時間はなく残念でした。
総合討論で座長の宮田先生がさりげなく「希少難病とか希少がんには・・・」とフォローされていましたが、ご本人のあの5分のスピーチの前後をとっても、そうじゃないのは一目瞭然だったので・・・・。
以前、別のシンポジウムではありますが「医者はいいものしか患者に勧めないんだから臨床試験を勧められたら黙って同意すればいい」と言った偉い病院の副院長さん(当時)がいましたが、もうこういうヘルシンキ宣言(※)すら無視している医師ってなんなんだろう・・・。
患者さんを大切にできない人間は臨床試験する資格はないです!
夕方の教育講演は会場から溢れるほどのCRCさんたちが集まり、立ち見が何重にもなっていました。
そんな状況でも熱心に聴講してくださる姿勢に胸が熱くなりました。
CRCさんは臨床試験において多数の調整を受け持つ大切な仕事です。
CRCなどの臨床試験を支える多職種の方が機能することで臨床試験に多くの目が入り、そして信頼できるものになっていくと私は信じています。
そのためにこれからも患者として応援していけるよう頑張りたいと思います。
3年前かな、あり方会議で聖路加の日野原先生が「ゴーゴーゴーCRC!」とエールを送られていましたが私もエールを送りたいです。
あんなアンポンタンに負けずにがんばれー!!!!
※すべての医師がこのような勘違いしている人ではなく、キチンと臨床試験ととりくまれている医師も多いのですが、今回はあまりにも酷かったのでブログに書きました。
※ヘルシンキ宣言(Declaration of Helsinki)は、1947年6月、ナチスの人体実験の反省より生じたニュルンベルク綱領を受けて、1964年、フィンランドの首都ヘルシンキにおいて開かれた世界医師会第18回総会で採択された、医学研究者が自らを規制する為に採択された人体実験に対する倫理規範。 正式名称は、「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」である 。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/ヘルシンキ宣言)
インフォームドコンセントについてもキチンと示されています。